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妹、梨華の家出 ②

Penulis: 紅城真琴
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-05 13:39:49

「あんた、何してるのよ」

その日の夕方、勤務を終えた私は自宅マンションの前で声を上げた。

「お帰り」

マンションの入り口に立つのは、妹の梨華。

「お帰りじゃないわよ。ここで何してるの?」

「お姉ちゃんを待っていたに決まってるでしょう」

はああ?

「梨華、あんた今日は会社休んだんでしょう?それなのに、フラフラ出歩いてどうするのよ」

「よく知ってるわね」

いかにもイヤそうな顔をした梨華がマンションに向かい、さも当然のように中へ入れろと言っている。

「そんな、いきなり来られても・・・」

困ったなあと、私は動きを止めた。

しかし幸いというか、渚は今夜当直でいない。

直接顔を合わせることはないのだが・・・

「梨華、ちょっと片付けるから待ってなさい」

マンションに入りエレベーターを降りたところで、梨華を止めた。

しかし、

「いやよ。何で待つの?やましいことでもあるとか?」

意地悪な顔。

「別に、ないわよ」

としか言いようがないけれど・・・仕方ないなあ。

ガチャッ。

鍵を空けて玄関へ入り、速攻で渚の靴を下駄箱に入れ、駆け足でキッチンリビングをチェック。

ヨシッ。大丈夫だろう。

本当に、渚がきれい好きでよかった。

希望的観測は往々にして覆されるとも知らず、私は梨華を部屋へと通した。

「お姉ちゃんらしくない部屋ね」

「そう?」

シンプルで物が少なくて、私の好みだと思うけれど。

「で、ここには誰と住んでるの?」

「・・・」

驚いて、絶句してしまった。

無言のまま、「何でそう思うのよ?」って目で訴えた。

「だって、歯ブラシ」

そう言うと、浴室の方を指さす梨華。

ああ、忘れてた。

「一体、どんな人なの?お姉ちゃんが同棲しようと思うくらいだから素敵な人なんでしょうね」

興味津々に聞いてくる。

うー、一番知られてはいけない人に見つかった気がする。

「あんたに関係ないでしょう。大体、こういうときは見ない振りするものよ」

私は梨華を睨み付けた。

一方梨華は、私の抗議など気にする様子もなく、意味ありげな視線を向けてくる。

「私もお姉ちゃんみたいに、一人暮らしがしたいなぁ」

梨華は4つ年下の妹。

甘えん坊で、わがままで、とっても個性的な子。

私が家を出たときはまだ中学生だったけれど、その頃から自由奔放だった。

学校も休みがちで、夜遅くまで帰ってこなくて両親を心配させる事も珍しくなかった。

でも、憎めないのよね。

小さい頃から、よく私をかばってくれたし。

周りは、医学部に行き医者になった私や大樹をできた子で梨華を不出来な子なと言うけれど、決してそんなことはないと思う。

梨華の心の強さに、私はあこがれていた。

誰が何て言おうと自分の価値観しか信じない梨華のように生きられたらどんなに幸せだろうと、私はいつも羨ましかった。

「ねえ、どうしてそんなに家を出たいの?」

私が聞くのも変だけれど、ここまで執着する理由を聞きたい。

「アメリカに行きたいの」

「はあ?」

今度こそあきれ返ってしまった。

「お金は?仕事はどうするの?」

「そんなもの、行ってから考えるわ。とりあえずの準備資金を貸してもらったら、後は向こうへ行って仕事を探す気よ」

「バカじゃないの?世間をなめすぎ」

やっぱりこの子は本当のバカかもしれない。

「そうかなあ」

言いながら梨華は持ってきたカバンから着替えを取り出す。

やはり泊まっていく気みたいね。

「泊めるなんて言ってないわよ」

無駄と知りつつ、一応言ってみた。

「同棲のこと、バラしてもいいの?」

ううっ。

「そんなこと言うと、2度とお小遣いあげないから」

「それは、ダメ。もう、お姉ちゃん意地悪言わないでよ」

ほらこうやって、すぐにかわいい妹の顔になる。

「今夜だけ泊めるわ。明日病院に行ったら大樹に話すからね。それまでにどうするか考えなさい」

これが私にとっての最大限の譲歩。

梨華の家出に手を貸したなんて知れたら、大変な事になるんだから。

私にとばっちりが来ても困るのよ。

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